→非ステロイド性抗炎症薬作用/副作用) ←→炎症
 →nsaids以外パラアミノフェノール誘導体/ピリン系薬剤
 →ステロイド性抗炎症薬 →プロスタグランジン製剤

●非ステロイド性抗炎症薬 nonsteroidal anti-inflammatory drugs : NSAIDs
 →作用/副作用 ←→PG/受容体/COX/歴史


[NSAIDsの作用] ←→副作用


[NSAIDsの副作用] ←→作用


  • NSAIDsの副作用は、COX-1を阻害するために発現するので、COX-2選択的阻害薬が開発された。
  • NSAIDsの、胃腸障害作用は用量依存性であり、多くの場合致命的となる胃穿孔や、上部消化管出血を起こす。概ねNSAIDsを処方された患者の10〜20%に消化器症状が現れ、アメリカでは年間に10万人以上が入院し、1万6千500人が死亡している。
  • しかしCOX-2選択的阻害薬には血小板凝集阻害がなく、血管内皮細胞のCOX-2活性を阻害するので、心血管系のリスクが上昇している患者に対しては使用できない。

  • ほとんどのNSAIDsは心血管系リスク(:CVリスク Cardiovascular Risk Factors)を上げることがわかった。(低用量であれば問題はほぼない。)しかしアスピリンは心血管系リスクを下げるので除外されている。
  • ほとんどのNSAIDsは、腎臓への有害作用を引き起こすことがあり、浮腫、高血圧および心不全を招くおそれがある。

  • NSAIDsは降圧剤(利尿薬、β遮断薬、ACE阻害薬など)の効果を減弱させる。
  • NSAIDsは、腎機能を低下させ、血清K値を上昇させるおそれがある。
  • PGは、腎臓では微小血管(輸入細動脈など)を拡張させ(腎血流量やGFRが増加する)などして、腎機能の維持に関与している。
  • NSAIDsは、腎臓でPGの産生を抑制し、Na再吸収や水再吸収を抑制し(水やNaが貯留する)、血管拡張を抑制する。
  • 高齢者や腎機能障害患者では、腎臓でPGが作用し、腎機能を代償的に保持し、血圧上昇を抑制している。
  • NSAIDsを投与すると、PGの産生が抑制され、腎機能が低下し、血圧が上昇する(平均血圧5mmHg程度が上昇する)。


[相互作用]



○酸性NSAIDsacid-NSAIDs

    サリチル酸 (英名:salicylic acid、ドイツ名:spir saure(スピールゾイレ)
    • 古代から鎮痛薬として使われたヤナギの樹皮の有効成分、抗炎症作用がある。
    • ベンゼン環にカルボキシル基とヒドロキシ基を併せ持つ、無色の針状結晶。
    • 隣接するヒドロキシ基の影響でカルボン酸としては比較的強い酸であり、そのまま飲むと胃穿孔を起こし腹膜炎の原因となる。
    • 酸性を弱め、胃を通過できるようにしたものがアセチルサリチル酸アスピリン)である。
      1838年Raffaele PiriaP 1814〜1865, イタリアの化学者)はパリのソルボンヌ大学で、サリシンから無色の針状でない結晶を分精製し、サリチル酸命名した。名称は柳の学名 Salix albaにちなむ。
      1897年
      8月10日
      19世紀には、苦味が強い柳エキスに代わってサリチル酸が鎮痛剤として使われたが、強い胃痛という副作用があった。Felix HoffmannP ドイツバイエル社)が、サリチル酸をアセチル化して副作用の少ないアセチルサリチル酸アスピリン)の合成に成功し、サリチル酸は鎮痛薬として使われなくなった。
      1879年
      明治12年
      日本では、明治12年(1879年)から飲食物の、明治36年1903年)以降は酒の防腐剤として用いられていたが、WHO の勧告や世論の反対運動などによって昭和44年(1969年)に全面禁止となった。また、腐食作用を利用してイボ取りの薬の主成分となっている。
    • サリチル酸は天然にも広く認められ、特に果実にエステル体であるサリチル酸メチルの状態で存在している。植物では、サリチル酸がウイルスやバクテリアなど様々な病原微生物に対する抵抗性(全身獲得抵抗性)を誘導する鍵となる物質として働くことが知られ、この働きにおいてはジャスモン酸と拮抗的に作用すると考えられている。一種の植物ホルモンとされることもあり、分子生物学による植物免疫研究の対象である。 

      サリシン salicin
        1830年Henri Lerouxアンリ・ルルー、フランスの薬学者)が、柳Salix albaから活性物質を分離し、salicin(サリシン)命名した。しかしサリシンは実際に純薬として使われることはなかった。サリシンは内服できないほどひどく苦かったからである。サリシンを含むヤナギの樹皮の煎液も苦く、欧州人は何世紀もの間その鎮痛作用を求めてひたすら苦さに耐えてきたのであった。
        1857年サリシンの話は江戸時代の日本にも伝わった。堀内適斎米沢藩の医師)が自書の『医家必携』でヤナギの皮の効用にふれ、「この薬、苦味・収斂・解熱の効あり。近世、柳皮塩あり、撤里失涅(さりしん)といふ」と記した。
      • D-グルコースを含むアルコール性のβ-グリコシド配糖体)である。
      • サリチル酸の配糖体であり、すべてのヤナギの樹皮で産生する非炎症性の配糖体でもある。
      • 服用するとサリチル酸に分解されるが、服用時にはキニーネのような苦味を感じる。

    • サラゾスルファピリジン(抗菌薬)は、サリチル酸スルファピリジンとが結合した免疫抑制剤

    アセチルサリチル酸 acetylsalicylic acid
    アスピリン aspirin
     ←→参考1
    • アスピリンの歴史年表 
      柳に鎮痛効果があることは紀元前からよく知られていた。
         
    • 1897年Felix HoffmannP ドイツバイエル社)が、アセチルサリチル酸の合成に成功した。
    • アスピリンは、ドイツのバイエル社が、アセチルサリチル酸に対して商標登録していたが、第一次世界大戦のドイツの敗戦で連合国によって商標は取り上げられ、一般名としても使われるようになった。
    • 日本薬局方でも、アスピリンが正式名称(一般名称)になっている。
    • アスピリンは「ピリン」の名前が付いているが、ピリン系ではない。
    • アセチルサリチル酸は柳の抽出物に由来する成分であるが、アスピリンの名称は、ヤナギ Salixに由来するものではないらしい。
    • アスピリン命名者はHeinrich DreserP 1860〜1924, ドイツの化学者)(1899年)で、2つの説がある。
      1. セイヨウナツユキソウ Spirae ulmariaに含まれるが、合成品であるということを誇示するため、「Spiraeから抽出したものではない」という意味で、
         ---a(否定)+Spirae+in→アスピリンと名付けたという説。
      2. アセチル(acetyl)のaとspir saure(サリチル酸)の合成語。
      セイヨウナツユキソウ(Filipendula ulmaria? Spiraea ulmaria?、 花嫁草 Meadowsweet)
      • 原産地は、ヨーロッパ、アジア西部、モンゴル。属名のFilipendulaは「ひもがぶら下がった」という意味で、根の形が由来する。
      • 初夏から夏にかけて、香りのよい乳白色の小さな花をつけ、その花はアーモンドの香りがする。乾燥すると香りが増すのでポプリなどに最適。
      • イギリスではストローイングハーブ(床にまくハーブ)や、ビールの香りづけにも利用されている。
      • 日本にもシモツケソウなど3種類の仲間が自生する。シモツケは、日本全土の山野にも生えているバラ科の落葉低木。

    • 化学名:1-Acetylsalicylic acid, 化学式:C9H8O4, 分子量:180.16
    • アセチルサリチル酸 酸性NSAIDs---COX-1/COX-2阻害作用
    • 解熱、鎮痛、消炎作用

    • 血小板凝集阻害作用も確認された。 →抗血小板薬
    • 特異的副作用 :耳鳴り、難聴
    • アスピリン類は15歳未満の小児のインフルエンザ、水痘などのウイルス疾患には禁忌

     ライ症候群 Reye's syndrome  参考1/2
    • インフルエンザ及び水痘のまれな合併症。
    • 主に小児において発症する。5-16歳が大部分
    • かなり高い死亡率疾患で、致死率は20-30%,生存者では脳障害が残る。

    • 急性脳症(嘔吐、意識障害、痙攣、高熱等の症状)で、肝臓ほか諸臓器の脂肪変性、CT上脳浮腫が見られる等により特徴づけられるものをいう。(インフルエンザ脳症の病型には、ライ症候群のほか、急性壊死性脳症、HSE症候群(HSES)などがある。)
    • 水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐と嗜眠から始まり、意識障害、昏睡にいたる。痙攣(急性脳浮腫)、肝臓障害、GOT、GPT、LDH、CPKの急激上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖症などの症状が短期に起こる。

      1963年Ralph Douglas Kenneth ReyeP 1912〜1978, オーストラリアの病理学者)らが、原因不明の小児の疾患に関する論文を科学誌「Lancet」に発表。
      1980年4つの疫学調査がライ症候群にサリチル酸の関与を指摘した。
      1982年国保健省長官は「アスピリン系の解熱剤を水痘やインフルエンザに使用すると、ライ症候群になりやすい」との警告文を公表した。
      1982年米国小児科学会は、「臨床的、疫学的証拠にもとずき、水痘の小児またはインフルエンザが疑われる小児に対しては、普通の場合アスピリンを処方すべきでない」との勧告文を学会誌に掲載。
      1982年厚生省も調査開始。内容は未公開。単に「我国の調査では本症とアスピリンの関連性は立証出来ず、本症の原因は不明である」とのみ報道した。
      1983年アメリカではライ症の発生は調査始まって以来の最小値となる。
      1984保健省がアスピリンを服用しないようキャンペーンを実施した。
      1985年アメリカでは発症者数が年間600〜1200人から90人台にまで激減した。
      1998年11月、日本のThe Informed Prescriberは「解熱剤は基本的には不要」との解説を掲載。
      1998年厚生省は「サリチル酸製剤の15才未満の小児の服用はこれを認めない」旨やっと通告した。
      厚生省研究班によると「脳症患者の65%は解熱剤を使用。そのうちメフェナム酸(ポンタール)を使った患者の死亡率は67%、ジクロフェナクナトリウムボルタレン®)では52%。解熱剤を使わなかった患者の死亡率は25%。これを統計処理すると、死亡の危険度は、使わなかった場合に比べ、それぞれ4.6倍と3.1倍に上昇していた」。

    • アメリカでは、サリチル酸系製剤を服用停止したところ、ライ症候群は激減した。
    • 日本では、ライ症候群の予防のために、投与する薬を限定している。
       15歳未満の小児のインフルエンザや水痘に伴う発熱に対して、解熱などの目的で、メフェナム酸を使った解熱剤:アスピリンアスピリンアスコルビン酸アスピリンダイアルミネート、サリチル酸ナトリウム、サリチルアミド、エテンザミド、ジクロフェナクナトリウムを、原則として、投与しないことになっている。
    • アセトアミノフェンには、インフルエンザ脳症脳炎、あるいはライ症候群などの副作用は比較的少ないとされている。
    • ジクロフェナクナトリウムは、インフルエンザ脳症の死亡率を、上昇させる。

    • ライ症候群の原因は、明らかになっていない。しかしアスピリン代謝産物のサリチル酸などによる、ミトコンドリア代謝障害が原因と考えられている。  ←→発熱は生体防御システムの一つであり、NSAIDsは発熱だけではなく、それ以外の生体防御機構も阻害してしまった???

    • 原因が明らかではないので、根本的な治療はないので、症状に対する対症療法
      • 脳の浮腫にはマニトールを点滴する。
      • けいれんにはけいれん止め坐薬(抗痙攣薬)などを処方
      • 出血傾向にはビタミンKの投与や、FFP(新鮮凍結血漿)の輸血
      • 呼吸不全には呼吸器による呼吸管理
      • 血中のアンモニアを下げる治療(ステロイドの投与、抗生剤の使用)
      • 時には交換輸血や血液透析を必要とすることがある。
    エテンザミド ethenzamide
    • サリチル酸系の解熱鎮痛消炎剤
    • 主に市販の頭痛薬や総合感冒薬に配合され、頭痛・歯痛・生理痛や発熱を抑える。
    • Acetaminophenに、CaffeineEthenzamideを加えた「ACE処方」と呼ばれる組み合わせで用いられる。
    • アスピリンと同等の作用を持つが、エテンザミドサリチル酸ではなく、サリチルアミドになるため、胃に対する副作用は比較的軽いとされている。

    メフェナム酸 mefenamic acid(ポンタール®)
    • フェナム酸の酸性NSAIDs---COX-1/COX-2阻害作用
    • 解熱作用は強力で、アスピリンの4倍あり、常用量でも低体温、虚脱を起すことがあるので注意が必要である。
    • わが国では解熱剤のシロップ剤が少ないことから、本剤が比較的多く使用されている。
    • アメリカ,ドイツ,カナダでは下痢、喘息の増悪、顆粒球減少症、血小板減少症などの副作用のため、小児への使用は安全性に疑問があることから認可されていない。
    ジクロフェナックナトリウム Diclofenac Sodiumボルタレン®など)
    • 化学名:{2-[(2,6-Dichlorophenyl)amino]benzeneacetic Acid, Na}, 分子量:318.1
    • アリール酢酸系-フェニル酸系の酸性NSAIDs
    • 選択的COX-2阻害剤ではないが、比較的COX-2阻害効果が強い。(COX-1/COX-2 = 0.3)
    • Ciba-Geigy (現在 Novartis) が1973年に開発し、1979年に英国で発売された。
    • スイスのガイギー社は、フェニルブタゾン(ピラゾリジン誘導体のピリン系薬剤)、メフェナム酸およびインドメタシンの立体構造と物理的化学的性質とを比較し、これらの化合物に一定の構造があることを見いだした。それらは酸解離定数が4〜5の弱酸性であること、分配係数が約10であること、その立体構造上二つの方向感の間にねじれがあることであった。これらの評価基準としてジクロフェナック(酸解離定数4、分配係数13.4、2つの方向環のねじれ69度)が選び出された。
    • 1974年にボルタレン錠、1982年に坐薬、1990年にボルタレンSRカプセル(徐放性製剤)、2000年に経皮吸収型製剤(ボルタレンゲル)が発売されている。
    • 解熱,鎮痛,消炎作用が強力で即効性があり,しばしば坐剤は解熱目的で使用されている。
    • 肝臓のフェノールスルホトランスフェラーゼ活性を阻害する(IC50 = 約9.5 μM)。
    • リウマチ患者の鎮痛目的でしばしば使用される薬剤である。
    • ジクロフェナクナトリウム製剤を投与後に、ライ症候群を発症したとの報告があり、小児のウイルス性疾患の患者に投与しない。 →参考インフルエンザ脳症・脳炎
    • ジクロフェナクナトリウム製剤を、妊婦に投与すると、胎児に動脈管収縮・閉鎖、徐脈、羊水過少が起き、胎児の死亡例も報告されている。
    スリンダク sulindac(クリニリン®、マルコ®)
    • アリール酢酸系-フェニル酸系の酸性NSAIDsのプロドラッグ
    • がんの治療薬として研究中
    • スリンダクと試験的化合物ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)を用いた臨床試験(第3相試験)の結果、しばしば大腸がんの前駆病変となる病変の再発を高い率で防ぐことが示された。 
    インドメタシン Indomethacin(インダシン®、インテバン®)
    インドメタシンファルネシル Indometacin farnesil:INN(インフリー®)
    フェルビナク felbinac
    イブプロフェン ibuprofen
    • プロピオン酸誘導体の酸性NSAIDs、COX-1/COX-2選択制は中間
    • Boots Group(イギリス最大級の国際的薬品小売企業)の研究部門が開発した。 Stewart AdamsJohn NicholsonColin Burrows(英国)らがアスピリンよりも安全な薬として1950代に合成し、1961年にパテントを取った。
    • 関節リウマチ治療薬として、英国では1969年から処方薬として許可され、米国では1974年から使用可能となった。
    • WHOのエッセンシャルドラッグ
    • アセトアミノフェンに次いで広く使用され,特にアメリカではOTCで扱う解熱剤の中心となっている。
    • 消炎、鎮痛、解熱作用を比較的バランスよく持っている。アセトアミノフェンより解熱効果の持続が長い。
    • 市販されているイブプロフェンラセミ体である。試験管内および生体内の実験から(S)-(+)体 (dexibuprofen)が有効成分であることがわかっているが、生体内試験では(R)体を有効な(S)体に変換する異性化酵素の存在が明らかになっているので、単独の鏡像体で販売するのはコストに対して無意味である。
    • 常用量でも低体温,虚脱を起すことがあるので注意が必要である。
    • 副作用:低体温・胃腸障害・肝障害・視覚障害代謝性アシドーシスなど
    • アスピリン服用の後にイブプロフェンを服用すると、アスピリン血小板凝集抑制作用が抑制される。(New England Journal of Medicine 2001/12/20 Pennsylvania大学のFrancesca Catella-Lawson、Garret A. FitzGeraldら)。
    • エクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイルに含まれるオレオカンタールイブプロフェンと似た構造であり、毎日50gのオリーブ・オイルを摂取すると、イブプロフェンの成人の服用量の1/10の服用と同様の効果があると考えられている。
    • イブプロフェンもオレオカンタールもTRPA1受容体チャネルを活性化する。 参考1
    フルルビプロフェン flurbiprofenファルケン®、アドフィード®、ステイバン®、ゼポラス®、フロベン®、ロピオン注®)
    • プロピオン酸系の酸性NSAIDs、フェニルアルカン酸誘導体
    • 貼付薬、内服薬
    • フルルビプロフェンアキセチル flurbiprofen axetil(ロピオン注®):プロドラッグ、静脈用、術後痛、がん性疼痛
    • 比較的副作用の少ないが、スティーブンス・ジョンソン症候群SJSも報告されている。
    ケトブロフェン ketoprofen(メナミン座薬®、エパテック座剤®、モーラス®、セクター®)
    • プロピオン酸系の酸性NSAIDs
    • 1967年にフランスのローヌ・プーラン社(現 サノフィ・アベンティス社)が合成した。
    • 内服薬の他、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、液剤、パップ剤テープ剤等の様々な剤形で発売され、一般用医薬品としても販売されている。
    • ケトプロフェンは光線過敏症を起こす副作用があるため、貼付部を紫外線に晒してはならない。
    ナプロキセン naproxen(ナイキサン®)
    • プロピオン酸系の酸性NSAIDs
    • 鎮痛、解熱、抗炎症薬として用いられる。
    • 薬物として有効なのは (S)-(+)体 のエナンチオマーである。
    • ナプロキセンを始めとする、プロピオン酸系のNSAIDは、それらはいずれもプロピオン酸の 2位が芳香環で置換された構造を持つ光学活性化合物で、S体に望ましい生理活性があることが知られている。
    • 片頭痛スマトリプタン-ナプロキセン合剤が有効
    ロキソプロフェン loxoprofen(ナトリウム塩:ロキソニン®)
    • プロピオン酸誘導体の酸性NSAIDs
    • 三共が開発したNSAIDs 1986年に経口剤(錠剤と細粒剤)が発売され、2006年にはパップ剤、2008年にテープ剤(商品名:ロキソニンテープ)が発売された。
    • プロドラッグであるため、体内ですみやかに活性型に変換される。
    • ロキソプロフェンNaは肝臓でカルボニル還元酵素(Carbonyl reductase:CBR)により、trans-OH体(活性代謝物)とcis-OH体に変換され、COXを阻害する。
    • カルボニル還元酵素は皮膚や筋肉にもあることが確認され、外用薬への応用が可能となった。
    • trans-OH体に変換された後に効果を発揮するので(?)、胃腸障害が比較的少ない。
    • ロキソプロフェンNaは肝臓でグルクロン酸抱合を受ける。
    • 承認されている効能・効果:1. 関節リウマチ変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎頸肩腕症候群、歯痛などの疾患ならびに症状の消炎・鎮痛 2. 手術後、外傷後ならびに抜歯後の鎮痛・消炎 3次の疾患の解熱・鎮痛:急性気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む。)
    • 平成21年9月15日に厚生労働省は、「原則として、「ロキソプロフェンナトリウム水和物【内服薬】」を「片頭痛」、「緊張型頭痛」に対し処方した場合、当該使用事例を審査上認める。」という通達を出した。*
    • 平成22年1月22日に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会はスイッチOTC薬としてロキソニンなど3成分を承認した(ロキソニンS、ロキソ、リファイン)。
    • ロキソプロフェンナトリウム水和物はヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝阻害試験において、最高血漿中濃度の約10倍の濃度(200μM)でもチトクロームP450各分子種(CYP1A1/2、2A6、2B6、2C8/9、 2C19、2D6、2E1及び3A4)の基質となる種々薬物の代謝に対して影響を与えなかった。
    ピロキシカム piroxicam(フェルデン feldene®、バキソ®)
    • オキシカム系のNSAIDs、ベンゾサイアジン系
    • 化 学 名:4-Hydroxy-2-methyl-N-(pyridin-2-yl)-2H-1,2-benzothiazine-3-carboxamide 1,1-dioxide 
    • 1967年に米国ファイザー社が開発した。
    • 日本では1982年に経口剤として承認され、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、腰痛症などの鎮痛・炎症に適応を有し、その後局所適応を目的とした軟膏剤を開発し、1986年に承認を受けている。
    • プロスタグランジン生合成酵素阻害作用のほか、リソソーム系酵素の遊離を抑制すると考えられている。
    • 効能・効果は消炎・鎮痛のみで、解熱目的の適応はない。かぜへの適応が削除された。
    • 小児に対する安全性も確立されていない。
    • ピロキシカムは、「1日1回投与」ですむ強力で作用持続時間の長い薬剤として開発され、106カ国で臨床使用され、高い市場占有率を有する抗炎症薬であった。
    • 抗炎症鎮痛薬による重篤な消化管出血、潰瘍、穿孔(死亡例を含む)が増加しているが、ピロキシカムによる発生率が最も高いとする調査結果が報告された。
    • 「高齢者には慎重投与」などの添付文書の使用上の注意が改訂された。
    • ピロキシカムが特に危険な理由は、主に、1. ジゴキシン以上に長い血中濃度半減期(約50時間)のため、老年者では蓄積により血中濃度が高くなりやすく、毒性が発現しやすくなる点。2. 肝・腎障害、年齢や体重に応じてどの程度に投与量を調節すべきかについて、ほとんどわかっていない。
    • EMEA(欧州医薬品審査庁)は、ピロキシカムの胃腸障害および重篤な皮膚障害の発現率が高いため使用制限した。(2007.07.13 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所))1/2
    アンピロキシカム ampiroxicam(フルカム®、ルコルナート®)
    • オキシカム系のNSAIDs
    ロルノキシカム lornoxicamロルカム®)
    • オキシカム系のNSAIDs
    テノキシカム tenoxicam(チルコチル®)


○C0X-1選択制の強いNSAIDs、C0X-1阻害剤 COX-1 specific inhibitor ???

    ケトロラク ketorolac(SPRIX®)
    ケトロラクトロメタミン ketorolac tromethamine(Toradol®、Acular®)
    • ピロロ-ピロール誘導体---インドール、ピロールを有している。
    • C0X-1選択性が高いNSAID
    • ケトロラクトロメタミンketorolac tromethamineは、非経口使用できる唯一のNSAIDである。
    • 経口(タブレット、カプセル)投与以外に、筋肉投与や、点眼薬や点鼻薬がある。
    • 日本では、2011年に経鼻用スプレー剤であるSPRIX®(ketorolac tromethamine)が発売された。
    • ラセミ体である。
    • 解熱、鎮痛や術後痛に使用される。
    • 脊椎手術後のPCAモルヒネの補助としてのケトロラク 
    • オピオイドと併用するとオピオイド使用量を15〜60%減らすこと効果があり、これをopioid-sparing効果という。
    • 腎臓を介して排泄される薬物---周術期の腎機能低下や消化器の副作用が強い
    SC-560
    • COX-1 選択的阻害薬
    • SC-560 は小腸粘膜のPG産生をインドメタシンと同等に阻害するにもかかわらず、小腸傷害を惹起しない。
    TFAP【N-( 5-アミノ- 2-ピリジニル)- 4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド】 参考1
    • 新規の COX-1 阻害剤
    • ラット経口投与時に、大量投与しても胃腸へのダメージがほとんどないが、アスピリンよりも強い鎮痛作用を示す。


COX-2優位なNSAIDs ←→C0X-2選択制のNSAIDs

    エトドラク Etodolac(オステラック®、ハイペン®)
    • COX-2が発見される前にすでに開発されていた、COX-2優位なNSAIDs(COX-1/COX-2 > 10)
    • アリール酢酸系、ピラノ酢酸系のNSAID
    • 1985年にヨーロッパで発売され、本邦でも 1994年から使用され始めた。
    • エトドラクは、COX-2に対する作用がCOX-1に対する作用と比べて10倍強く、比較的消化器障害の少ない消炎鎮痛剤として使用されている。
    • PGE2の生合成を抑制する作用以外に、ブラジキニン産生を抑制したり、好中球(多形核白血球)からのライソゾーム酵素の遊離を抑制したり、好中球の遊走を抑制する作用もある。
    • エトドラク製剤は、軟骨基質からのグリコサミノグリカンの遊離を抑制する。
    • 現在のところ、重篤な心血管事故は報告されていないようだ。
    メロキシカム meloxicamモービック Mobic®)
    • オキシカム系NSAIDs
    • COX-2が発見される前にすでに開発されている、比較的COX-2選択性が高い。
    • 1977年に合成され、ヨーロッパで 1995 年に初めて承認され、本邦では 2000年に承認された。
    ロルノキシカムロルカム®)
    • 1977年にHoffmann-La Roche社(Hoffmann-La Rocheが合成したオキシカム系のNSAIDでNSAIDs
    • 本邦では平成12年12月22日に製造承認(大正製薬)を取得
    • 従来のNSAIDと比べて強力な抗炎症・鎮痛効果を有す。
    • 半減期は従来のオキシカム系の約1/20と非常に短いのが特徴です。
    • 製剤的に溶出性を高め、体内吸収性を改善(クイックリリース技術)。
    • 最高血中濃度到達時間は、内服後30数分(空腹時)とされている。
    • 血中濃度の立ち上がりの速さから手術後疼痛等の急性症状に対し、迅速な鎮痛効果を示す。
    • 代謝性により、慢性関節リウマチ等の慢性疾患においても安全に投与が続けられると考えられている。
    ザルトプロフェン zaltoprofen(ペオン®、ソレトン®) 参考1
    • プロピオン酸誘導体の酸性NSAIDs
    • COX-2優位(COX‐2>COX‐1)だけでなく、唯一抗BK作用を有している
    • COX-2優位:炎症部位のCOX-2を阻害するため、消化管障害などの副作用が少ない。
    • ブラジキニン受容体拮抗作用:BKによって誘発される痛みも抑制する。
    • 高齢者、腎機能低下患者、関節リウマチ患者などでは、速効性で副作用が少ないザルトプロフェンが使いやすい。

○C0X-2選択制のNSAIDs、C0X-2阻害剤 COX-2 specific inhibitor ←→COX-2優位なNSAIDs

    1989年Daniel L. Simmons(Brigham Young University)がCOX-2を発見した。

  • 従来NSAIDsに特徴的な副作用である消化管障害を軽減するために、C0X-2阻害剤が開発された。
  • 選択的COX-2阻害薬では胃腸障害が少ないことからも、関節リウマチのような長期投与が必要とされる患者には適している。
  • しかしCOX-2阻害薬は従来型NSAIDsよりも、血栓を誘発し、心筋梗塞を起こしやすいという報告が出だした

    コキシブ系薬剤
    • COX-2 選択性を目指して開発され、スーパーアスピリンとして注目された。
      セレコキシブ celecoxib(セレブレックス Celebrex®、セレコックス®)
      • Pfizer社が開発した第1世代のコキシブ系COX2阻害剤
        1992年米国G.D. Searle & Company社(現米国Pfizer社)が合成した。
        1998年海外で始めてコキシブ系薬物として承認され、1999年2月に米国で発売された。
        2007年1月26日、セレコックス®が、日本で初めて承認された。(ファイザーが輸入し、アステラス製薬が製造販売)(1995年10月から第Ⅰ相試験が開始され、1996年4月から山之内製薬(現 アステラス製薬)と日本モンサント(現 ファイザー)が共同開発を実施した。)
      • 「関節リウマチ、変形性関節症の消炎・鎮痛」が適応となっている。
      • セレコキシブの血管系疾患に対するリスクも警告されている。
      ロフェコキシブ lofecoxib(Vioxx®)
      • Merck社が開発した第1世代のコキシブ系COX2阻害剤
      • 長期使用後に心臓発作および脳卒中のリスクを増加することが明らかとなり、2004年9月に自主回収された。(ロフェコキシブ回収までに長時間を要していた。)
      バルデコキシブ valdecoxib(Bextra®、Valdyn®、KudeqUDEQ®)
      • 第2世代のコキシブ系薬剤
      • 2002年4月から米国で、ファルマシア社とファイザー社がBextra®の製品名で共同販売を開始した。
      • 2003年ファイザー社は欧州委員会からバルデコキシブの販売承認を取得した。欧州で変形性関節症、関節リウマチ、原発性月経困難症(生理痛)が関与して起きる疼痛と炎症の治療薬として販売が認められた。 
      • 臨床試験ハイリスク患者に対するバルデコキシブの心臓毒性も示されている。
      パレコキシブナトリウム parecoxib
      • 第2世代のコキシブ系薬剤
      ルミラコキシブ lumiracoxib(Prexige®)
      • 骨関節炎や急性疼痛の治療薬としてNovartis社(スイス)が開発した選択的COX-2阻害剤
      • 痛風の急性疼痛緩和にインドメタシンと同等に有効で、インドメタシンに比べて副作用が少ない?
      • 英国、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、ニュージーランドなどでに販売されていたが、2007年に英国・ドイツ・オーストリアは、肝障害の懸念により販売を停止すると発表した。
      • 米国FDAも、変形性関節症による痛みの治療法としての承認申請に対して非承認が通知された。
      エトリコキシブ etoricoxib (Arcoxia®)
      • エトリコキシブの血栓性心血管イベント発生率はジクロフェナクナトリウムと同等
      • FDA申請中のCOX2阻害薬エトリコキシブは高血圧関連の副作用による服用中止がジクロフェナクの約3倍


塩基性NSAIDs basic NSAIDs

    →塩酸チアラミド/塩酸チノリジン/エピリゾール/エモルファゾン/メピリゾール
  • 抗炎症作用は酸性NSAIdsに比べると穏やか。
  • 作用機序はわかっていないが、PG 生合成抑制作用を示さない。
    塩酸チアラミド(ソランタール®)
    塩酸チノリジン tinoridine hydrochloride(ノンフラミン®)


●NSAIDs以外の解熱鎮痛剤

    パラアミノフェノール誘導体/ピリン系薬剤

    パラアミノフェノール誘導体アセトアニリドアセトアミノフェンフェナセチン
      痛みと鎮痛の歴史年表
      鎮痛2NSAIDsNSAIDs以外の解熱鎮痛剤

      アセトアニリド acetanilide
      アセトアミノフェン acetaminophenN-acetyl-p -aminophenol:APAP:(米国一般名、医薬品一般的名称)
       (tylenol® タイレノール®カロナール®、(パーコセット®トラムセット®
      パラセタモール paracetamol:para-acetylaminophenol:(国際一般名 INN、英国一般名)(panadol®)


       [メリット]
       [肝機能障害]

      • アセトアミノフェンの肝障害の特徴は、免疫反応の過剰によるアレルギー反応によるものではなく薬自体の肝毒性による中毒性であり、大量になると発生するという用量依存性があり、発生の個人差は比較的小さい。
        アセトアミノフェン代謝
        • アセトアミノフェンは吸収後、その95%が肝臓で代謝される。
        • グルクロン酸抱合、硫酸抱合、薬物代謝酵素であるチトクロームP450:CYP代謝経路に入って、主としてCYP2E1による代謝のあわせて3経路の代謝経路で代謝される。通常は先の2経路で残りの15%程度がCYP2E1による代謝になる。
        • ごく一部がCYP2E1により水酸化され、反応性に富む中間代謝物NAPQI (N-acetyl -p-benzoquinone imine)を生成する。
        • NAPQIが肝障害壊死を起こす原因物質となるが、通常はNAPQIもさらに肝細胞内でグルタチオン抱合を受けメルカプツール酸となり、無毒化されて排泄される。

      • 大量に服用すると肝臓、腎臓、心筋などに重い障害を起こす。
      • 常用量(1回0.3〜0.5g、1日0.9〜1.5g)程度では、長期使用しなければ 安全に使用できる薬剤とされているが、大量服用により中毒性肝障害(ヒト経口中毒量:5〜15g、肝障害発現量:7.5g以上、150mg/kg以上)を起こすことが知られている。
      • 薬剤性肝不全の80%はアセトアミノフェンによる
      • 米国では平成10年10月、飲酒者の解熱鎮痛剤についての警告の表示が指示されたが、そのなかでOTC薬のアセトアミノフェン製剤については、肝障害発現の危険性から、包装に毎日3杯以上の飲酒者は服用の是非を医師に相談する旨記載することになった。
      • 『アルコール・アセトアミノフェン症候群 Alcohol-acetaminophen syndrome』は約10年前から英国、数年前からは米国で話題になっている。
      • 急性肝不全の42%はアセトアミノフェンが原因:米Washington大学(UTSW)のAnne M. Larson氏らは、急性肝不全と診断された患者を調べ、アセトアミノフェン過剰摂取が急性肝不全の原因としては突出して多いこと、その頻度が年々増加していることを明らかにした。(Hepatology 2005年12月号) 参考1/2
      • 2009年 埼玉保険金殺人事件:埼玉県で、市販の風邪薬とアルコールを大量に摂取させることによる殺人事件が発生した。警察は容疑者を絞り込んでいたものの、被害者の体内から毒物などの物的証拠を確認できなかったため逮捕に至らなかったが、風邪薬に含まれるアセトアミノフェンとアルコールを同時に大量摂取することで死に至る危険性があるという調査結果を得て逮捕に踏み切った。
      • 最近、高校生・中学生などの間では、総合感冒薬に含まれるカフェインなどによる覚醒効果を期待し大量に服用することが流行っていて、肝障害も問題となった。
      • アセトアミノフェン服用による肝機能障害、黄疸が報告され、 平成10年12月24日付けで、アセトアミノフェンを含有する医療用医薬品 の添付文書の重大な副作用の項に「肝機能障害、黄疸」が追記された。
      • 日本でのアセトアミノフェン製剤については、諸外国に比べ用法・用量が低いため,成人の疼痛緩和にはほとんど使用されておらず、また変形性関節症等の長期にわたる軽度から中等度の痛みに対して第一選択薬として使用されていなかった。このような状況を鑑み、日本疼痛学会および日本ペインクリニック学会からの要望により、製薬各社が2009年11月に公知申請を行っていた。
      • 2011年1月13日に米国FDAアセトアミノフェン製剤による重篤な肝障害副作用に対して、安全対策を実施することを報告した。すべての処方薬に関して、1規格(1錠、1カプセルなど)あたりのアセトアミノフェンの配合上限を323mgまでに制限する。添付文書に重篤な肝障害に関する警告記載(Boxed Warming)を行う。又、肝障害とアナフィラキシーについても記載(Warning)を行う。
      • 厚生労働省医薬品局は、2011年1月に「変形性関節症による疼痛」の効能・効果の追加および「1回投与量を1000mg、1日最大投与量を4000mgまで」とする最大用量の増量に関わる用量追加の製造販売承認事項一部変更承認を行った。アセトアミノフェン類は、重篤な肝障害が発現する恐れがあることを注意し、1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には、定期的な肝機能などを確認するなど慎重に投与する。アセトアミノフェン製剤とアセトアミノフェンを含む他の薬剤の併用により、アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現する恐れがあることから、これらの薬剤との併用を避けること。
      • これらは11月29日の第二部会で承認する旨が報告されていた。今回、米国で副作用問題を受け、部会に報告された添付文書案を見直し、過量投与や長期投与に関係なく発現するおそれがあることから、「警告欄」などにその旨をより強調する形で記載し、注意を促すことになった。 

       [メカニズム]
      • Daniel L. Simmons(Brigham Young University)が2002年にアセトアミノフェンは、中枢神経系に存在するCOX-3のみを特異的に阻害することを発見した。視床下部に作用して解熱作用を、視床および大脳皮質に作用して鎮痛痛作用を示す。
      • その後、解析がさらに進められた結果、COX3との相互作用も臨床的な影響をうまく説明できないことがわかってきた。 参考1/2/3
        Peter M. Zygmunt(筆頭:Edward D. Högestätt、Lund University, Sweden)らはアセトアミノフェンN-アシルフェノールアミン(N-acylphenolamine:AM404)の構造が極めてよく似ていることを発見した。
        • アセトアミノフェンは肝で脱アセチル化されて、p-アミノフェノール(p-aminophenol)となる。
        • p-aminophenolは脳および脊髄に移行し、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(fatty acid amide hydrolase:FAAH)依存性にアラキドン酸と結合することで、AM404へと代謝される。このAM404が強力な鎮痛作用を示す源となる。
        • AM404はCOX-1およびCOX-2活性を阻害することによって、脳および脊髄内のPGE2産生を抑制して解熱および鎮痛効果を示す。
        • AM404はイオンチャネルであるTRPV1の強力な活性化剤であり、カンナビノイドCB1受容体にも影響を及ぼす。
        • AM404はエンドカンナビノイドの再取り込みを阻害して、シナプス間隙のエンドカンナビノイドを増加させることによって、間接的にCB1受容体を活性化させる可能性が示唆されている。CB1受容体は一次求心性神経の興奮を抑制的に調節し、カプサイシン誘発性の炎症性疼痛を抑制的に調節する。
        • AM404はPAGおよびRVMのCB1受容体を活性化し、介在性のGABA神経からGABA遊離を抑制することでセロトニン神経系を含む下行性疼痛抑制系を賦活する可能性が示唆されている。
        • CB1遺伝子欠損型マウスを用いて、ホルマリン投与による疼痛閾値の低下に対するアセトアミノフェンの効果が認められないことが報告されている。
        • CB1受容体アゴニストの鎮痛作用が選択的セロトニン神経毒である5,7-dihydroxy-tryptamie:5,7-DHTにより抑制されることが明らかにされ、「CB1受容体ー下行性セロトニン神経系」仮説の起源となっている。
        • AM404はPAG内のTRPV1を活性化させることにより抗侵害作用を示す可能性が示唆されている。
        • アセトアミノフェンは肝臓を経て脳内でAM404となり、COXの阻害、PAGおよびRVMのCB1受容体やTRPV1を活性化、脊髄に投射するセロトニン神経系の活性化を介して鎮痛作用を示す可能性が示唆された。

        パーコセット percocet®
        トラムセット tramcet®
      フェナセチン Phenacetin


    ピリン系薬剤 参考1
    • ピラゾロン骨格を基本骨格とする解熱鎮痛薬
    • 厳密にいえばNSAIDsではないが、NSAIDsに分類されることもある。
    • アスピリンは、ピリン系薬剤ではない。
    • ピリンアレルギー:ピリン系薬剤の投与により薬疹を生じる。 

      ピラゾロン誘導体
        アンチピリン/アミノピリン/スルピリン/イソプロピルアンチピリン
      • 解熱作用が強いが、その反面、副作用として顆粒球減少症、薬物アレルギー反応、ショックなどが起る可能性がある。
      • 1950年代には、アミノピリンとスルピリンなどのピリン系製剤が含まれるアンプル入りの総合感冒薬が発売されていた。アレルギーによるショックのための死者が続出し(アンプル入りかぜ薬事件)、厚生省は1962年に製薬企業に発売停止や回収などを指示した。
      ピラゾリジン誘導体

      アンチピリン antipyrine(Phenazone®)
        antipyrine=anti+pyretica(発熱)+in
      • 最初に開発されたピリン系解熱薬、ピラゾロン誘導体
        1883年Ludwig KnorrP 1859/12/2〜1921/6/4, ドイツErlangen大学の化学者、Hermann Emil Fischerの助手)はキノリン類の合成研究を行っていた時、アセト酢酸エステルとフェニルヒドラジンからオキシメチルキニジンを合成したが、予想に反しこれはキノリン化合物でなくてピラゾロン化合物であることがわかり、ジメチル・フェニル・ピラゾロンと改称した。キニーネと似たキノリン核をもっているものという最初の推測から、Wilhelm Filehne( ドイツErlangen大学の薬理学教授) が薬理実験を行ったところ、解熱作用があることがわかり、アンチピリンという名称で、Hoechst AG (現 Sanofi-Aventis)から発売された。
      • 頭痛、リウマチ、月経痛などに用いられる。
      • 体温調節中枢に作用し、皮膚血管を拡張することにより熱の放散を活発にする。
      • 副作用としてアレルギー反応で薬疹の発生、血液障害がある。
      アミノピリン aminopyrine
      • ピラゾロン誘導体であるピリン系解熱薬
      • 解熱・鎮痛薬として19世紀後半から20世紀前半に広く用いられたが、無顆粒球症を引き起こす危険性があり、また発癌性が指摘されたことから使用禁止と なった
        1884年Ludwig Knorrアンチピリンと塩酸、亜硝酸ナトリウムを作用させて4-ニトロソアンチピリンを作り、さらに4-アミノアンチピリンを作った。
        1896年
        1897年
        Wilhelm Filehne( ドイツErlangen大学の薬理学教授) が4-アミノアンチピリンをN-メチル化合物としてアミノピリンを創製し、Hoechst AG (現 Sanofi-Aventis)から発売された。
      • アミノピリンは、食物中の亜硝酸と胃酸中で反応して発癌物質ジメチルニトロソアミンを生じる可能性がある。
      スルピリン sulpyrine
      • ピラゾロン誘導体の解熱・鎮痛剤
      • 体温調節中枢に作用して、皮膚の血管を拡張し、体表からの熱の放散を増すことによって解熱する。
      • 抗炎症作用はない。
      • 注射薬のみが生産されているが、ピリン系製剤のアレルギー体質の人は要注意
      イソプロピルアンチピリン isopropylantipyrine
      • ピラゾロン誘導体の解熱・鎮痛
      • ピリン系の解熱鎮痛成分で、頭痛薬にはその主成分としてよく使われている。単独で使用するより、ほかの解熱・鎮痛成分と配合するとより効果を発揮する。
      • セデスGなどにも配合されている。
      • スイッチOTC薬とされるが、ピリン系薬剤なので、過敏症の方は使用不可。
      フェニルブタゾン phenylbutazone:PBZ(ビュート bute®、ブタゾリジン butazolidin®)
      • ピラゾリジン誘導体の解熱・鎮痛、ピリン系薬物
      • 強力な抗炎症作用・抗リウマチ作用 、鎮痛および解熱作用。作用はアスピリンより弱い。
      • 1946年にH. Stenzl(スイス、Basel)が開発した。
      • 日本でも認可されたが、副作用が強いので、実質上使われていない。
      • 血漿タンパクと強い結合力を有するため、併用した他のタンパク遊離が起こり、遊離薬物の作用が増強する。
      • 薬害:1984年2月の毎日新聞のスクープ:毎日新聞社が入手したチバガイギー社の内部資料によれば、1952年から1982年までの間にタンデリール、ブタゾリジンの2薬の副作用報告は1万例を超え、世界中で1182人の死亡者が出ていた。英国はブタゾリジン及びタンゲリールを2月18日に発売中止し、ノルウェーでも4月1日から発売中止することを正式に決定した。日本でチバ社は「因果関係は未確認」としながらも「国内で掴んでいる死者は18例」とも発表したが、厚生省は、国内の死者の数はたったの2人だと報告していた。
      • 1984年にフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾンによる顆粒球減少症、消化管出血、皮膚障害などの重篤な副作用が問題となり、死亡例も報告されたことから、適応が限定された。それを契機に厚生省は1986年、「非ステロイド性消炎鎮痛薬の安全性の見直し」を行った。
      スルフィンピラゾン sulfinpyrazone(アンツーラン錠®)
      • ピラゾリジン誘導体




ステロイド性抗炎症薬
 ←→副腎皮質ホルモン/ステロイド/ホルモン/ニューロ/くも膜下/大槽内/椎間板内/経口/ステロイドパルス/歴史 参考1

    短期作用型コルチゾール(ヒドロコルチゾン®)
    中間型プレドニゾロンプレドニン®)、メチルプレドニゾロン(メドロール®)、トリアムシノロン
    長期型ベタメサゾン(リンデロン®)、デキサメサゾン(デカドロン®)

  • ステロイド性抗炎症薬は、強力な抗炎症作用、鎮痛作用、免疫抑制作用を持つが、副作用が強く、その制御が難しいので、一般的な痛みの治療には、NSAIDsが用いられる。NSAIDsで、充分な鎮痛がえられない場合や、変形性関節炎関節リウマチなどの膠原病がん性疼痛肩手症候群の治療に用いられる。
  • ステロイドの効果と副作用を秤にかけて処方する必要がある。
  • 全身性エリテマトーデスなどでは全身ステロイド薬投与により生命予後が劇的に改善されるため、ある程度の副作用が想定されても積極的に使用される。
  • 喘息・アレルギー性鼻炎アトピー性皮膚炎では、局所ステロイド薬の効果が副作用に比して優れているため、第一選択薬に位置づけられている。
  • 関節リウマチでは症状軽減に大きな効果があるが、疾患事態を改善する効果はない。

  • ステロイド性抗炎症薬は、主にはコルチゾール副腎皮質の束状帯から放出されるグルココルチコイドの一つ)。 
    1927年Frank A. Hartmanバッファロー大学の生理学者)は「アジソン病に対して、仔ウシの副腎皮質抽出物の投与が有効であることを示し、この抽出物を「コルチン」と名づけた。
    1935年Upjohn社が副腎皮質エキスを市販した。
    1935年Edward Calvin Kendal(1886〜1972, アメリカメイヨークリニックのの生化学者、1914年に甲状腺ホルモン(チロキシン)を単離結晶化)はHartmanの研究に興味を持ち、大量のコルチンをウシの副腎皮質から抽出することに成功し、単離した8種類の化合物の中で最も薬理活性が高かった「化合物E」を精製し、「コルチゾン」と名づけた。コルチゾールの前駆体であるコルチゾン自身には抗炎症作用はないが、コルチゾールには抗炎症作用と免疫抑制作用があることがわかった。
     Tadeus Reichstein(1897/7/20〜1996/8/1, ポーランドの化学者、ビタミンCの合成)がコルチゾンの化学構造を決定した。
    1948年Philip Showalter Hench P 1896〜1965, メイヨークリニックの内科医)は副腎の働きが悪い患者がしばしばリウマチの患者と同じ全身症状を示すことに気づいた。リウマチは副腎ホルモンの不足のために生じ、ホルモンを補充すれば治るだろうと考えていた。ケンダルが「複合E物質」を発見したということを聞き、サンプルの提供を依頼した。ヘンチはリウマチで苦しむ13歳の少女に世界で初めて複合E物質を投与すると、翌日少女はベッドの横で踊れるようになるほど回復したと言われています。これがニューヨークタイムズの一面を飾り、「奇跡の薬」として騒がれた。
    1950年KendallHenchReichsteinは1950年度ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
    1952年SulzbergerlWittenは外用剤として酢酸ヒドロコルチゾン軟膏を臨床に使い、優れた効果を得て注目された。
     その後、グルココルチコイドの化学構造を修飾したステロイド性抗炎症薬が開発された。

  • 副腎皮質ホルモンには多種多様な生理作用があるが、鎮痛作用は主には抗炎症作用抗浮腫作用に基づくとされる。
  • 副腎皮質ステロイドは、インターロイキンIL-1をはじめとする、種々のサイトカインの産生を抑制することによっても、PLA2の作用を抑制し、COX2の発現を抑制する。
  • NSAIDsは5-リポキシゲナーゼの活性は阻害しないが、ステロイド性抗炎症薬は、5-リポキシゲナーゼの合成も阻害する。 ←→アラキドン酸カスケード
  • 副腎皮質ステロイドは、細胞膜を通って細胞膜に入り、ステロイド受容体と結合体となり、複合体を作る。この複合体が細胞核に取り込まれ、mRNA合成を刺激して、細胞質におけるリポコルチンの生合成を促進する。リポコルチンはホスホリパーゼ PLA2を阻害し、アラキドン酸の遊離を制御する。その結果、PGの生合成が阻害される。
    細胞膜リン脂質
    PLA2
    ←Xリポコルチンステロイド性抗炎症薬
    アラキドン酸

  • ステロイド受容体は、生体内のほとんど全身の細胞に存在しているので、ある部位での生理作用が不必要に過剰に発現する結果として副作用も生じる。


 [抗炎症作用] ←→炎症

  • 血管透過性抑制、活性化酸素産生抑制、白血球遊走性低下、抗体産生低下、細胞免疫低下作用などが起こり強力な抗炎症作用が発現される。

 [投与経路]


 [疼痛に対する適応]


 [副作用]

  • グルココルチコイドは、糖代謝を調節するホルモンで、タンパク質や脂質から等を新生するので、血糖が増えて、尿に糖が出ることがある。
  • グルココルチコイドは、骨形成を減弱させるので、骨粗鬆症や脊椎骨崩壊へと進展する可能性がある。
  • グルココルチコイドは、消化性潰瘍を引き起こす。

  • ステロイド性抗炎症薬を長期投与すると、Cusing症候群になる。
    1. 中心性肥満、満月様顔貌 moon-face、バッファロー様の怒り肩 buffalo hump
    2. 皮下組織が薄くなり、筋肉内の発達が悪くなる。
    3. 皮膚や皮下組織が薄くなり、筋肉の発達が悪くなる
    4. 創傷の治療が悪く、外傷による挫傷は斑状出血が出やすい。
    5. 毛髪は細く不揃いになる。
    6. 体脂肪は特有の分布を示し、腹壁、顔面、上背部に集まる。腹部では、皮下脂肪の増加による線条痕が現れる。
    7. 血糖値が上昇し、尿中に糖が現れる。グルココルチコイドが持つ電解質コルチコイド様作用も加わって、ナトリウムおよび水分の貯留が増える。
    8. その他高血圧、腎結石、骨粗鬆症、耐糖能障害、感染症への抵抗力低下、精神障害、小児では身長の発育停止
    9. 女性は通常月経不順、多毛症や一時的な脱毛、その他女性における男性化徴候等が出現する。
    重症な副作用
    1. 感染症の誘発・憎悪
    2. 消化性潰瘍
    3. 骨粗鬆症、骨折
    4. 精神障害
    5. 高血圧、糖尿病
    6. 血圧上昇、高血圧
    7. 高脂血症
    8. 動脈硬化、心電図異常
    9. 副腎不全
    10. 無菌性骨壊死
    11. 白内障緑内障
    12. 血管炎、血栓症
    13. 筋力低下、筋萎縮
    軽症な副作用
    1. 痙辱様発疹
    2. 多毛症
    3. 満月様眼貌、中心性肥満
    4. 皮膚線条
    5. 皮下出血、紫斑
    6. 食欲亢進、体重増加
    7. 月経異常
    8. 多尿、多汗
    9. 不眠
    10. 白血球増多
    11. 脱毛
    12. 浮腫
    13. カリウム血漿
  • グルココルチコイドを分泌する副腎皮質の構造と機能を下垂体前葉から分泌される副腎皮質ホルモン(ACTH)が支える。他方、グルココルチコイドの血中濃度が高まると、ACTHの分泌が抑制される。ステロイド性抗炎症薬もACTHの分泌を抑制する。この薬剤を長期投与すると、正常なホルモン産生が阻害される。
  • ステロイド性抗炎症薬による治療をいったん開始すると、投与を中止しても、下垂体前葉ー副腎皮質系は、中止後3年間、ストレス負荷や感染に対応できない。

    コルチゾール cortisone(ヒドロコルチゾン hydrocortisone®) ←→コルチゾール(ホルモン)
    • 短期作用型ステロイド系抗炎症薬
    • ヒドロコルチゾン(コルチゾール)は副腎機能障害 (Adrenal insufficiency) や先天性副腎過形成 (CAH) の治療に使われる。
    プレドニゾロン prednisolone(プレドニン®) →経口ステロイド療法/ステロイドパルス療法
    • 中間作動型ステロイド系抗炎症薬
    • プレドニゾンの活性代謝
    • プレドニゾンとその誘導体は糖質コルチコイドとしての作用と鉱質コルチコイドとしての少しの作用を持つ。
    • 1955年に合成された。
    • 炎症原因に関係なく炎症反応を抑制し、炎症のすべての過程において有効。
    • 急性炎症、慢性炎症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、ショック、痛風、急性白血病ネフローゼ症候群、移植片拒絶反応の治療に使用され、副作用として免疫機能低下、副腎皮質機能不全、クッシング症候群、胃潰瘍神経症状が存在する。
    • そのほか、脳脊髄液産生を抑制する目的で水頭症の治療に使用される。
    プレドニゾン prednisone
    メチルプレドニゾロン(メドロール®)methylprednisolone  →ステロイドパルス療法 参考1
    • 中間作動型ステロイド系抗炎症薬、糖質コルチコイド系薬剤
    • 承認されている効能・効果:1 急性循環不全(出血性ショック、感染性ショック) 2 腎臓移植に伴う免疫反応の抑制 3 受傷後8時間以内の急性脊髄損傷患者(運動機能障害および感覚機能障害を有する場合)における神経機能障害の改善
    • 厚生労働省は平成21年9月15日に、「原則として、「メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム【注射薬】」を「脳炎・脳症」、「髄膜炎」、「肥厚性硬膜炎」、「脊髄炎」、「視神経炎」、「重症筋無力症」、「多発性硬化症」、「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」、「ギラン・バレー症候群、「膠原病・免疫性疾患」、「ベーチェット病」、「Bell麻痺」、「トロサ・ハント症候群」に対し処方した場合、当該使用事例を審査上認める。」という通達を出した。*
    • 電解質コルチコイド作用をほぼ完全に抑え、かつ糖質コルチコイド作用はヒドロコルチゾン(コルチゾール)に比べ5倍に増強されている。
    • 肺への移行性はプレドニゾロンに比べ良好とされており、気管支喘息治療においても用いられる。
    • 関節リウマチの治療、さまざまな呼吸器系の疾患によって起こる細気管支炎の短期治療などがある。
    • 急性および慢性の自己免疫疾患、特に全身性エリテマトーデスの制御にも用いられる。
    • 長期にわたって服用すると、体重の増加、緑内障骨粗鬆症、精神病といった重篤な副作用があり、特に過剰摂取した場合に顕著である。
    • 最も重い副作用は副腎が自然にコルチゾンを生産するのを止めたあとに起こるが、これはメチルプレドニゾロンが人体が作り出すコルチゾンと置き換わってしまうためである。この状態になったあと急に服用をやめるとアジソン病発作と呼ばれる症状があらわれ、非常に危険である。これを避けるため、通常処方量は徐々に減らすように調整される。
    トリアムシノロン triamcinolone(アフタシール®、アフタッチ®、アリストコート®、オルテクサー®、クーペ®、ケナコルト®、ケナログ®、トリアノポロン®、トリシノロン®、トリナザル®、ナザコート®、ノギロン®、リネトン®、レダコート®、ワプロン®など)
    デキサメタゾン dexamethasone(デカドロン®)
    • 長期作動型ステロイド系抗炎症薬
    • グルココルチコイド受容体アゴニスト
    • プレドニゾロンの9α位にフッ素を、16β位にメチル基を導入した化合物
    • 抗炎症作用はコルチゾールプレドニゾロンより強い。
    • デキサメサゾンとその誘導体は、ほぼ純粋な糖質コルチコイドであるので、電解質コルチコイド活性(ナトリウム貯留作用:電解質作用)は弱い。
    • 炎症の原因に関係なく炎症反応を強力に抑制する。
    • 急性炎症、慢性炎症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患などの際に使用される。副作用として副腎皮質機能不全、クッシング症候群などがある。
    ベタメサゾン betamethasone(リンデロン rinderon®)(リンデロン rinderon® の名称の由来:nebennierenrinde(副腎皮質)+ ron(語尾調整))

    経口ステロイド療法
    • プレドニゾロンが使われることが多く、初期投与量PSL20〜60mg/日程度で開始し、2〜4週ごとに5〜10mgずつ減量していく。
    • PSL20mg以下では、さらにゆっくり減量していく。
    • 連日内服と隔日(1日おき)内服があり、後者のほうが副作用は少ないといわれている。
    ステロイドパルス療法 pulse therapy ←→パルス療法


●コルチコトロピン放出因子受容体拮抗薬
 CRH受容体拮抗薬(CRF受容体拮抗薬) CRH receptor antagonists

 ←→CRF/コルチコトロピン(ACTH)/CRF受容体

  • IBS
    JTC-017
    • 中枢神経系に移行しうる非ペプチド性CRHR-1 拮抗薬
    アストレシン astressin
    • 中枢神経系に移行しうる非ペプチド性CRHR-1 拮抗薬
    CP-154526
    • 1型CRH受容体(CRHR-1)の選択的で強力な非ペプチドアンタゴニスト
    • Pfizerによって開発され、アルコール中毒の治療に研究中である。
    ピラジノン
    • 中枢神経系に移行性しないペプチド性CRH拮抗薬
    D-PheCRF(12〜41)
    • ペプチドアンタゴニスト
    αらせんCRF(9〜41)



●プロスタグランジン製剤 ←→PG

    PGE1関連アルプロスタジルアルファデクス/アルプロスタジル/リマプロスト アルファデクス
    ミソプロストール/オルノプロスチル
    PGI2関連ベラプロストナトリウム
  • PGE1、PGI2両製剤とも強力な血管拡張作用を有するため、血圧低下、めまい、同期などの副作用がある。
  • PGE1製剤は血管痛を起こしやすく、注射剤の漏れによる血管炎には注意が必要である。
  • PGI2製剤は血管拡張に伴う顔面紅潮や、抗血小板作用に伴う出血傾向の助長が起こりうるため、工業湖陵訪中の患者では注意が必要である。

    アルプロスタジルアルファデクス alprostadil alfadex (PGE1-CD)
    (注射用プロスタンディン®)
    • PGE1をα-シクロデキストリンの包接化合物として、安定性と水溶性を増した製剤。
    • 1973年にCarlsonが初めて下肢の虚血性潰瘍に投与して以来、慢性動脈閉塞疾患に臨床応用されている。
    アルプロスタジル alprostadil(リポPGE1)(リプル®、バルクス®)
    • 血管拡張作用及び血小板凝集阻害作用を有するPGE1のリポ化製剤である。lipid microsphere中にPGE1を封入した製剤。
    • 慢性動脈閉塞症(バージャー病閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善に臨床応用されている。
    • 糖尿病における皮膚潰瘍の改善などにも適応
    リマプロスト アルファデクス Limaprost Alfadex(オパルモン錠®、プロレナール錠®) →参考1/2/
    • 経口PGE1誘導体の製剤
      リマプロスト アルファデクス---抗血小板薬
      1. 血管拡張、血流増加作用
      2. 血小板凝集阻害作用
      3. 赤血球変形能亢進作用
      4. 活性酸素産生抑制作用

    • 1988年に「閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血性諸症状の改善」を効能・効果として承認された。
    • リマプロストは四肢の血流を改善する作用のみならず、腰部脊柱管の中を走っている馬尾神経に栄養を供給している血管の血流をも改善することが報告されていた。
    • 2001年4月4日付で「後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間歇性跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善」の効能・効果が新たに追加承認された。
    • 2005年、頸椎症に対する効能・効果が新追加承認された。←参考
       頸椎症は、主に経年的な頸椎の形状変化により、脊髄や神経根が圧迫され神経機能が障害される疾患で、その発症には圧迫された神経組織の血流低下が関与しているといわれ、四肢のしびれや痛みなどの症状が現れる。リマプロストは、血管拡張作用と抗血小板作用を有する末梢循環障害改善剤で、頸椎症における神経組織の低下した血流を改善し、神経機能を正常化することで四肢のしびれや痛みを緩解する薬剤として開発が期待されている。

    • 帯状疱疹後神経痛に対しても障害部位の血流を増大させることにより、その部位の疼痛を減弱させる効果が期待されている。
    ミソプロストール misoprostol
    • PGE1誘導体
    • 胃の粘液や重炭酸イオンの分泌を促進するほか、壁細胞に直接作用してヒスタミンやガストリンによる胃酸分泌を抑制することから胃酸抑制薬として使用される。
    • NSAIDsの長期服用による胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療に用いられるが、子宮収縮作用があるため妊婦には使用できない。
    オルノプロスチル ornoprostil
    • PGE1誘導体
    • 胃粘膜を保護するプロスタグランジンの働きを高め、胃粘膜の血流を増やす作用、胃粘液の分泌を促す作用、胃酸の分泌を抑える作用を抑える作用などを示して、潰瘍の発生を抑えるとともに、傷ついた胃粘膜の修復を促す。
    ベラプロストナトリウム beraprost sodium(ドルナー®、プロサイリン®)
    • 東レ株式会社で創製された、世界ではじめての経口投与可能なPGI2(=プロスタサイクリン)誘導体
    • わが国では、最初閉塞性動脈硬化症の治療薬として許可され、次に原発性肺高血圧症に対する治療薬として認可された。
      1992年1月21日に慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感を改善する薬剤として承認された。
      1999年原発性)肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH 原因不明の肺血管抵抗の増大によって、数年で死に至るきわめて重篤な疾患、その病態にエンドセリン、プロスタサイクリン、ホスホジエステラーゼ5が関与していることが判明した。)に対する有効性が示され、「原発性肺高血圧症」の効能追加が認められた。
    • PGI2の不安定性の原因となっているエキソエノールエーテル構造をフェノール構造に置き換えるとともに、ω‐側鎖に化学修飾を加えることで抗血小板作用と副作用との分離を図ったものである。
    • 抗血小板作用だけではなく、血管拡張作用、血管平滑筋増殖の抑制などもある。
    • 血中半減期は約1時間である。



●ブラジキニン受容体括抗薬 ←→BK/BK受容体

  • ブラジキニンは発痛物資であるにもかかわらず、ブラジキニンを阻害する鎮痛薬は開発されていない。

    B1受容体拮抗薬
    • B1受容体拮抗薬については、臨床評価されたものはない。
      Lys-des-Ag9-HOE140
      desArg10,Leu9‐kallidin
      B2受容体拮抗薬
      • 鼻炎、気管支喘息、全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome: SIRS)·敗血症,外傷性脳傷害等で評価され、ある程度BKの関与について示唆する役割を果たしたが、いずれも治療薬として期待されたほどの作用を示したとは言えなかった。
        NPC567
          CP-0127
            HOE-140イカチバント Icatibant(Firazyr®)
              D-Arg-Ag-Pro-Gly-Thi-Ser-D-Oic-Arg
            • ヨーロッパの欧州医薬品庁(EMEA)の諮問委員会(CHMP)は、成人における遺伝性血管浮腫(C-1エステラーゼ阻害欠損を伴う)の急性発作の対症療法(HAE治療薬)として、Jerini AGによるIcatibantの申請を、2008 年 7 月 11 日に承認した。
            • 日本では、アレルギー性鼻炎を適応とした前臨床段階で安全性の問題から開発を中止した。
          その他のブラジキニン関連薬